タスマニアに『ハウルの動く城』が来ました

ケサマシブ

2005年09月02日 18:31

オーストラリアの他の地域に比べて、3週間早く上映と言うことです。初日はオリジナルの日本語(英語字幕)版で、2回目からは英語版「Howl's Moving Castle」の上映だそうです。昨日が初日で、ホバート市内の日本人がたくさん来ていました。観客は日本人とオージーが半々といったところでした。
感想ですが、結構ガッカリでした。「子供の映画じゃん」という感じです。まあ、オージーなんかは、アニメは子供の映画なんだから、それを大の大人が見に来て「子供の映画じゃん」と文句を言っているのはおかしいと思うでしょうが。『もののけ姫』と『千と千尋の神隠し』の後ですから、期待しちゃいますよね。宮崎アニメのすごいところは、子供も楽しめるファンタジーの中に、大人も考えさせられる深いテーマが織り込まれているところでしょう。

『もののけ姫』では、自然と人間の文明の対立、『千と千尋の神隠し』では、バブル経済などに踊らされる社会へのアンチテーゼが織り込まれています。今回の『ハウルの動く城』では「戦争」だと思われます。何度か見てみないと分からないでしょうが、登場人物のセリフの中にいくつかそのキーがありました。今も続いているイラク戦争などを意識しているのでしょう。でも前の2作品のような深みがない。あまり深くつっこんでいくと、「こどもに楽しめるファンタジー」ではなくなる可能性があるし、政治的になり過ぎる危険性もあるのかな、と思ったりします。

宮崎駿のように社会的な影響力を持つ人にもなると、作者の意図とは違った解釈をされて、政治的な目的で利用されるようなことも心配しなければならないのでしょうか。実際、このタスマニアの原生林伐採反対運動にも『もののけ姫』が使われ、その監督ということで(更に『魔女の宅急便』でタスマニアが舞台になっているようだという縁もあって)宮崎駿にも協力してもらおうという動きがあります。(そのせいもあって、こんなに早く上映されるのかも知れない。)でも僕には、タスマニアの運動の主張と映画の中の宮崎駿の主張は違うと思われるのですが。

ということで、次回作を期待します。
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