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2005年10月26日

なぜ微分形式か?

久しぶりに数学のことを書く。(誰も読まないかもしれないけれど。)

ユークリッド空間の微分積分学から、曲がった空間(多様体)上に微分積分学を拡張して定義するときに、微分形式と接続、共変微分という新しい概念が必要になる。ここでは特に微分形式について書くことにする。

多様体上で積分を考えるときに、微分形式が必要になる。これはユークリッド空間上では、古典的に線素dxや面素dxdyなどと呼ばれていたものに対応し、その積分は重積分に他ならない。古典的には線素dxは無限に小さくできる長さのような曖昧なとらえ方をしていたが、一般的に多様体上では長さが定義されているとは限らないので、他の方法で定義してやらなければならない。

そのために局所的に言うと、座標系(x^1,…,x^n)から1形式dx^1,…,dx^nを考え、それらによって生成される外積代数を考える。(正確にはこの多様体を底空間とし、各点のファイバーが外積代数であるベクトルバンドルになる。)そうすると座標関数によって誘導されたベクトルバンドルの局所同型写像によって、この外積代数がユークリッド空間上での(向き付けを考えた)面素や線素などdr^1,…,dr^nの積(これも外積代数であるが)に対応して、普通に重積分ができてしまうのだ。

この積分値はもちろん座標関数の選び方によらない。ユークリッド空間上の積分と同じように、ヤコービアンによって調節される。

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Posted by ケサマシブ at 13:37│Comments(12)数学
この記事へのコメント
待ってました、数学ネタ!また、書いて下さい。
少なくとも1名は読んで増すから(爆)。
Posted by ゲスト at 2005年10月26日 17:09
もう1名追加してください。
ちょうど、微分形式のテキストを挫折したところでした(笑)
グッドタイミング〜(グッドなのか?)
同じくリクエストします、また書いてください!
Posted by ゲスト at 2005年10月27日 06:18
○calcさん
最近はずっと微分幾何の本を読んでいるんですよ。去年の今頃も同じ本を読んでいたんですけれどもね。今年になってやっとある程度分かってきました。講義で相対論をやったのが良かったみたい。

○さとみさん
さとみさんが読み始めた多様体の本は、基本的な所が詳しく書いているようで良さそうですね。でも物理ではメトリックを考えなければならないことがほとんどだから、後で別の微分幾何の本を読まなきゃなりませんね。(接続とか共変微分、曲率なんかについて解説しているもの。)
Posted by Ima@Tas at 2005年10月28日 14:22
私は、逆に、ゲージ理論およびその発展形を来年には読もうかと思っています。Yang-Mills接続、場、汎関数などなど。
(主ファイバー束の概念や事実に翻訳されるということなので、ファイバー束、接続、特性類は必須のアイテムです)
数学だけでなく、物理も語って下さい。
Posted by ゲスト at 2005年10月28日 17:03
今日、私も、去年の今ごろ読んでいた微分幾何の本を復習してました。
そちらを復習しながら、多様体の本を読もうかな〜と。
私がやりたいことでは、多様体をまともに使うんですよ。^-^
というか、多様体を使った研究をしたいな〜と。
接続とか共変微分とかも必須ですね〜

またしてもcalcさんの真似みたいですが、
私も、物理の話もリクエストします。^-^
Posted by ゲスト at 2005年10月28日 18:51
○calcさん
>ゲージ理論、Yang-Mills接続

ゲージ理論ってよく聞くんですけれど、今いち何のことかピンとこないんですよ。Yang-Mills接続もたまに聞くんですけれども、未だ良く分かりませんね。

○さとみさん
今やっていることが、一般相対性理論の話と大分かぶっているので、そのうちその辺りのことを書くかも知れませんね。(自分の専門と違うんだけれど。)
Posted by Ima@Tas at 2005年10月31日 13:51
おひさしぶり

さて、微分形式は多様体以前に必要ですよ。
ユークリッド空間上でも、線積分とか面積分とかやるならね。

この場合、長さとか面積とかは、もとのユークリッド空間から決まるから、計量についてはあまり考える必要はない。
Posted by ゲスト at 2005年11月09日 15:23
>さて、微分形式は多様体以前に必要ですよ。
>ユークリッド空間上でも、線積分とか面積分とかやるならね。

そうですね。でも厳密に定義されずに使われていますね。

>この場合、長さとか面積とかは、もとのユークリッド空間から決まるから、

これはユークリッド計量を考えているということですよね。
Posted by Ima@Tas at 2005年11月10日 14:25
>厳密に定義されずに使われていますね。

そんなことはないですよ。
そもそもR^nで定義できなかったら多様体上では定義できませんから。

>>この場合、長さとか面積とかは、もとのユークリッド空間から決まるから、
>これはユークリッド計量を考えているということですよね。
そうです。
Posted by ゲスト at 2005年11月10日 16:33
教養レベルの微分積分や電磁気学で出てくる重積分では、
dxを線素と呼んであいまいなまま取り扱われています。
ユークリッド空間も、もちろん多様体だから、微分形式が
あるのは当たり前で、実際対象になっているものも
(多様体の言葉で言うと)微分形式が多いです。
(テンソルというべきか?)
それでも、将来多様体を扱わない学生には良いのかなと思います。
(高校でε-δ論法を教えないで、極限を扱っている様なものかな?)

ベクトル解析の本では、将来多様体を扱うことを前提に、
余接空間から外積代数を考えて微分形式を定義しているものが
多いのかな?(よく知らない)

多様体において、余接空間から考えて微分形式を
定義しなければならない理由は、
dxがいったい何のことで、どこにあるか分からないから
ユークリッド空間のように取り扱えなくなることだと思います。
ここでやっと厳密な微分形式の有難さに気づくのではないかと思います。
Posted by Ima@Tas at 2005年11月11日 14:55
教養レベルでも座標系を極座標やらなんやらの曲線座標系で考えるなら、同一視は無理でしょう。

線素で長さを考える場合にも直線座標系に固執する必要はありません。座標変換すれば極座標でもどこでも使えますよ。
Posted by ゲスト at 2005年11月12日 10:17
calcさんのブログの方に書きました。
こっちは見ている人が少ないから、きっと。
Posted by Ima@Tas at 2005年11月12日 15:07
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