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2004年11月10日

あれが、ベクトル解析だったんだ。

僕はずっと、大学でベクトル解析を習っていないと思っていた。信じ切っていた。でも最近、実は習っていたという事に気がついた。馬鹿な話である。

それは、大学の2年の後期に受講した、M.スピヴァック著 [ * +「多変数解析学―古典理論への現代的アプローチ 」+ * ]:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4489011903/Lvdrfree-22/250-5825363-4501805?dev-t=D1KDF7Q74DD3A2%26camp=2025%26link_code=xm2 を使った解析学の講義だったのである。内容は、この本の英語の題名 [ +「Calculus on Manifolds: A Modern Approach to Classical Theorems of Advanced Calculus」 + ]:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0805390219/Lvdrfree-22/250-5825363-4501805?dev-t=D1KDF7Q74DD3A2%26camp=2025%26link_code=xm2 が示すように、多様体上の微積分学といったような内容である。

よく調べたわけじゃないから、不確かな印象だけで書くのだが、たいていのベクトル解析の本は、物理での応用を意識してか、2次元や3次元での全微分や方向微分、線積分、面積分、勾配(gradient)、発散(divergence)、回転(rotation/curl)などの例題がふんだんに出てくると思うのだが、この本ではそういった具体的な例題は申し訳程度にあるだけだ。

この本の話の中心は、n次元ユークリッド空間の微分積分学をいかに多様体上に拡張するかということである。だからその話は、終始n次元で進められ、当然抽象的になる。多様体上の微積分を考えるから、微分形式なども考えなければならないし、学部の2年生にとっては少し難しいような気がする。特に当時の自分のような、学部の1、2年の物理をほとんど理解できなかったボンクラ学生には、物理でやったことを抽象化して数学の言葉で言い直しているなどとは思いもよらなかった。

この本は良い本だと思う。今読んでみると、その話の展開の見通しの良さ、簡潔さがよくが分かる。でも、2次元や3次元のベクトル解析にある程度慣れてからのほうが良い。この本の役割は、ベクトル解析から多様体論への橋渡しのような位置づけになると思う。ベクトル解析はまずユークリッド空間上でやりましょう。いきなり多様体上では辛いです。

それから、ベクトル解析もやらずに大学の物理をやるのも無理。

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Posted by ケサマシブ at 13:24│Comments(0)数学
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